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世界一の生産台数を誇るピアノメーカー・ヤマハ。U3シリーズはアップライトピアノですが、高級モデルの「UXシリーズ」よりポピュラリティが高く、同社の中で最も売れたシリーズとも言われます。
1950~1980年代と長きに渡り製造されていましたが、現在は廃盤。中古市場での価値は安定しており、数十万円台で取引されています。
高さは130cm以上と大型で、低音部の伸びと重みには定評があります。
#300は、1946年から1953年に製造されていた高さ131cmのアップライトで、U3シリーズの前身のモデルとなります。
当時は高さ110cm程度のコンソールタイプが主流であった欧米製のピアノの音響に打ち勝つ目的で、響鳴板を大きくした131cmタイプが製造され、比較的安価で販売されたようです。
ヤマハのアップライトの中で最も背の高いシリーズとなり、響鳴板が大きく、またダイナミックレンジもほかのU1、U2より幅広いところから、表現豊かな音色を奏でることができます。グランドのような迫力あるダイナミックレンジ、音の強弱の幅を求める上級者におすすめのシリーズです。
U3Aという型番のアップライトピアノは少し特殊で、実は2回製造されています。1度目は、1954年から1959年で、#300のリニューアルモデルとして5年間出回っていました。
2度目は1982年12月から1987年2月までで、低音の評価が高くなかった旧モデルを改良し、すべてのハンマーにアンダーフェルトを備え、ハンマー内部を固めました。
その結果、上品な音色を奏でるハイグレードなピアノとして評価を得るようになりました。中古市場で2度目に出回ったモデルが欲しい人は注意が必要です。1度目のモデルは2本ペダル、2度目のモデルは3本ペダルで外見の見分けがつきます。
U3Bは、1954年から1963年に製造されたアップライトのモデルです。U3Bは高名な建築家がデザインしたもので希少価値が非常に高く、中古市場でも買取り価格が販売価格を上回るほどだといわれています。
2ペダルのモデルではあるものの、滑らかなタッチとヴィンテージ感のある音色に惹かれる人も多く、その斬新な佇まいからアントニンモデルと呼ばれています。
U3Cは、1959年から1965年の6年間製造されたモデルです。1956年からヤマハのピアノの製造工程は分業化が進められるなど、変化が大きかった時代でもあり、ピアノの売り上げも上昇傾向でU3Cもよく売れたそうです。
ペダルは2本仕様ですが、支柱が6本で丈夫さを売りにしたものも誕生しました。クセのないタッチで粒の揃った音を奏でることができます。
U3DもU3Cと並んで1959年から1964年の5年間に製造されていたモデルです。世界に誇れる良質なピアノづくりをコンセプトにしていた当時のヤマハの高品質モデルの1つです。
現在のピアノは環境問題への懸念から、外装に使われている木材がチップボードであるのに対して、当時はアップライトにも天然の木材をグランド同様に贅沢に使用されています。高級なピアノケースを介して奏でる心地よい音色は、ほかの素材では決して真似できません。
U3Eは、1965年5月から1970年3月までに製造されていたモデルです。1965年、ヤマハは静岡県にアップライトピアノの専用工場を設立させました。それまでは基本的に手作りだったピアノも、生産量を拡大させて需要に応えられるようになりました。
庶民層でも手に入れることが可能なほど低価格で良品質なU3Eは、広く市場に出回り始め、天然木材から奏でられる上品な音色に多くの人が癒されました。
U3Fは、1970年3月から1971年3月までのわずか1年間だけ製造されていたモデルです。3本ペダルとピアノ内部にあるハンマーにアンダーフェルトを施し、ほかのU3シリーズに引けを取らない良質な音色を奏でます。
U3Gは、1971年から1972年までのわずか1年という製造年数だったため、大変希少価値の高いモデルです。そのため、中古市場では買取りも販売も、高値で取引きされています。
古いピアノではありますが、良質な天然木材とアンダーフェルトハンマーを使用していて、深みのある安定した音色を奏でます。
U3Hの製造は、1972年4月から1980年9月までの8年にもわたり、U3シリーズの中で最も長い製造期間を誇る人気モデルです。時代背景も、ヤマハが大量生産を始めてピアノの売り上げ台数がとても伸び盛りだった時代でもあります。
今では想像しにくいほどの売れ行きで、在庫待ちも多かったようです。低音から高音までバランスよく響き、コストパフォーマンスに優れたモデルとして人気があります。
U3Mは、1980年9月から1982年12月に製造されていたモデルです。1973年と1979年のオイルショックを得て物価が上昇し、製造されていた時代はバブル期を迎えるタイミングでした。
ピアノの販売価格もひとつ前のシリーズのU3Hが30万円でしたが、U3Mで一挙に51万円へと跳ね上がっています。そのため、製造から少しばかり経過しているピアノであるにもかかわらず、現在の中古市場でも程度の良い中古は40万円前後で取引きがされていて、品質の良さが伺える高級感溢れるピアノです。
U30BIは、1987年4月から1989年9月までに製造されていたモデルです。1997年まで続いたU3シリーズの製造も後半期に差し掛かっている時代でした。
響鳴板が大きくダイナミックな音響を可能にするU3ですが、初心者でも弾きやすいタッチで、繊細な音の強弱を体感することができます。製造期間も約2年と短かかったこともあり、希少価値の高い人気モデルとなっています。
U30Aは、いい音を奏でるピアノの代名詞といわれるくらい、繊細で表現力豊かな演奏を可能にしてくれます。
U3シリーズのエンディングを飾るモデルとなるのがU300です。1994年3月から1997年8月までの期間に製造されました。1946年から51年間という長い歴史を歩んできたU3シリーズ。培ってきた知識や経験が全てこの最終版のU300に刻まれています。
中古ピアノを購入する際「ヤマハのU3シリーズ」など、希望のシリーズが決まっていますか?その場合、あらかじめ販売店に取り扱いを確認したうえで、ショールームへ赴くようにすると良いでしょう。
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