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現在では国内だけではなく、国外でもその名を響かせるピアノメーカーヤマハですが、その名が当初から有名だったわけではありません。
U1シリーズは、ヤマハがピアノブランドとして国内では確固たる地位を築きながらも、まだまだ国外では有名でなかった時代に生まれたピアノシリーズです。
はっきりとした音色や心地の良いタッチなど、ピアノブランドとしてのヤマハが完成されはじめた時期の興味深いモデルでもあります。
ピアノ生産が盛り上がった1970年代から1980年代初頭に生産されたモデルは国内・国外問わず買い求める人が多い人気モデルです。
#100は、1948年から1953年に製造されていたアップライトの初期モデルです。1939年に始まった第二次世界大戦の空襲によって浜松のピアノ工場も焼き尽くされ、ヤマハは1947年に至るまでピアノの製造を中止していましたが、第二次大戦後にヤマハの想いを込めて生み出されたのが#100です。
高さは121cmで、U1シリーズの旧タイプである#100という品番です。背景が特殊なため、現存している#100は非常に少なく、残っていたとしても鍵盤数が85鍵のため、現代のピアノを基準にするとどうしても機能性に欠けてしまうことから、希少価値が高くても実用にはやはり不向きです。
#100(No.100)のリニューアル商品であるU1Aは、高さ121cm、コンパクトサイズのU1シリーズの初期モデルで、1954年から1959年に製造されました。
U1A 、U1B 、U1Cといったように「U1」のあとにくるアルファベットで製造時期がわかるようになっており、このU1はピアノの背を低くするための工夫が凝らされ、重量も軽くなっています。
U1Bは、U1Aと同じ1954年から1959年に製造されていたアップライトのピアノモデルです。1950年代は創業者の山葉寅楠氏に次いで、川上源一氏が38歳の若さで日本楽器(ヤマハの旧社名)のトップとなり事業を拡大しました。
当時の日本家屋に適合するような高さ121cmというコンパクトサイズでありながら高品質な響きで、価格も当時はリーズナブルでした。部屋に本格派のアップライトピアノを置きたいという方におすすめです。
U1Cは、U1A、U1Bと同じ1954年から1959年に製造されていたアップライトのピアノモデルです。こちらも1948年から1953年に製造されていた#100のリニューアル商品となります。
コンパクトなサイズでありながら品質の良い音が出せるよう、優れた技術で製造されていました。
1959年から1965年の12月まで製造されていたピアノモデルです。1956年からピアノの製造工程も見直され、フレーム鋳造のために一貫した独立工場を設立させるなど分業化が図られるようになりました。
ピアノ製造の効率化だけでなく品質も音色の深みと伸びを重視して改良され、世界で注目されるほどのU1シリーズへと進化を遂げていく礎になっていきました。
U1Eは、1965年から1970年まで製造されたピアノモデルです。ペダルが2本から3本になり、弱音装置が搭載されています。ピアノ本体の裏側にある太い支柱が、しっかりした低音とキレのある高音を響かせます。
U1Eは、音色や響きに派手さを感じます。その派手さに個性があり、弾き続けると愛着が持てます。ヤマハの歴史を感じとれるピアノとして人気です。
1970年3月から1971年3月までの間に製造されていたU1Fは、中古では安価で販売されていますが、とても希少価値の高いピアノモデルです。
戦後、東洋の奇跡と呼ばれた高度経済成長を遂げた日本は、ものづくりに対する視点や、細部にまでこだわる執着力を結実させた製品群で、世界中をあっと言わせてきました。そんな良き時代に生まれたU1Fは、今でもハイグレードな日本のピアノとして世界から注目されています。
U1Gはピアノが最も売れていたとされる1970年代、ヤマハが大量生産を本格化する直前の1971年から1972年の1年間に製造されたアップライトピアノです。
ヤマハは1970年代からスタインウェイを研究し、UXシリーズなど高品質なピアノシリーズを製造してはさらなる飛躍発展を遂げていきました。1970年代のピアノは人気が高く国外にも多く輸出されています。
U1Hは、1972年から1980年に製造されたピアノモデルです。ピアノ製造がピークを迎えた1980年代初頭へ向けてさらに盛り上がりを見せていきます。良質な材木が使用され、40年近く前に製造されたとは思えないほど、深みのある伸びやかな音色を奏でます。
鍵盤のタッチは軽やかで弾きやすさも格別です。弦が長く張れる131cmと比べるとどうしても音量は小さくはなりますが、131cmのサイズだと部屋には置けないという人にはおすすめしたいピアノです。
U1Mは、1980年09月から1982年12月までの約2年間に製造されていたピアノです。1980年代初頭は、年間生産20万台という生産量を誇っていたヤマハですが、国内のピアノの普及率が高まり、ピアノを求める人が一時期に比べて減少に転じました。
U1Mはスタンダードでクセがなく、優しくソフトな印象を与える音色なので初心者にもぴったりなアップライトピアノなので、初心者にもおすすめです。
U10BIは、1987年4月から1989年09月までの2年間に製造されたピアノです。1987年は、日本楽器は創業100周年を記念して社名をヤマハ株式会社へと改名しました。
ヤマハはこの頃にはピアノの世界でもトップクラスの人気を誇るほどの地位を確立しています。スタンダードなモデルのU10BIも、安価な割には日本らしい繊細なつくりで、高品質な音色だとたくさんの人から称賛の声があがっていました。
U10Aは1989年10月から1994年3月までに製造されていたピアノモデルです。
この頃、121cmのアップライトコンパクトタイプのU1シリーズは、すっかり「ヤマハらしい音色」が定着し、コンパクトでも大柄なタイプに引けを取らないほどの高品質といった定評がありました。U10Aは、安定性があり弾き心地抜群なスタンダードモデルです。
U100は、1994年3月から1997年8月まで製造されていたピアノモデルです。限られた響鳴板面積の中で充分な弦長を確保していて、コンパクトながら優れた音響を引き出せるよう工夫されています。
低音部はクリアな音質で、高音部にあがるほど煌びやかにメロディーを奏でながら芯のしっかりした音色を響かせます。
中古ピアノを購入する際「ヤマハのU1シリーズ」など、希望のシリーズが決まっている場合は、あらかじめ販売店に取り扱いを確認したうえで、ショールームへいくことがおすすめですよ。
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